2018.11.09新米ママインタビュー②
オーナーの玉さんと熊本のスナック「ルノアール」を訪れて、ルノアールの喜美子ママが手作りの料理を17品も提供していたことに感動。一念発起、スナ玉でもカレーの日が制定されたのだが…。
「髪の毛にカレーの匂いが付かないように作っていました」
―――そういえば、さやママの手作りのカレーの日ってまだあるんですか?
さやママ なくなりました(笑)。ルノアールの喜美子ママ、凄いなとは思ったんだけど、私には出来ないなと。とにかく、料理を作るのがホントに大嫌いなんですよ(笑)。これは常連のお客さんも私が全く料理をしないことをみんな知ってるんです。
―――なぜ料理を作るのが嫌いなんですか?
さやママ 私の中では自炊だとしたら、手間かかる上におカネかかるし、下手だから余計おカネかかるんですよ。もう食材とかも使えないと思ったところは全部捨てちゃうので。使うところが少ないんですよ。
―――野菜の皮だけを切れなかったりとか?
さやママ はい。あと分量わからないから、超大量に作っちゃって。「これどうするの?毎日食べなきゃ」という感じになる。だから嫌なんです。ふるまう側で言うと、怖いじゃないですか料理って。
―――それは火が熱かったり、刃物を使うから?
さやママ 相手の反応ですね。あんまり、自分の料理がおいしいと思ったことがないんです。実家が外食だったんですよ。母はバリバリ仕事をしていたので作らなかった。おばあちゃんも作らないんですよ。ひいおばあちゃんはみんなの分を作ってくれた。ひいおばあちゃんは私が中学3年生まで生きてたんですけど。それ以降はずっと外食。料理って外食の方が100%美味しいじゃないですか?だって、その道のプロフェッショナルが作ってるんだから。
―――それぞれの家庭の味も、あると思うんですけどね。
さやママ 正直、その気持ちがあんまりわからない。ひいおばあちゃんの料理はおいしかったんですけど。
―――外食のレベルに達しないなら自炊しなくてもいいんじゃないかと?
さやママ 私はそのレベルには絶対到達できない、って勝手に思ってるんです。料理の腕に関してはとっくに諦めてるので。カレーの日に作ってたカレー、鍋にルーを溶かして、スーパーで売ってるカット野菜を入れてたんですよ。そしたら玉さんに「もうちょっと手の込んだカレー出来ないか?」って言われたんです。
―――玉さんは「カレーの日なのに店のドア開けても全然カレーの匂いがしない」と。
さやママ 髪の毛にカレーの匂いが付かないように作ってました。
―――ハハハハハ。それは新感覚ですね。
さやママ だってカレー臭い女って嫌でしょ?!お客さんもあんまり私のカレーを求めてないですよ。
―――そもそも、匂いがしないカレーって出来るんですか?
さやママ 匂いがしないように願ってました。鍋のフタをキッチリしめて。
―――願えばできるんですか(笑)。
さやママ 作ってるときは「めちゃ臭っ」と思いながら作ってたんですけど、でも、玉さんが臭くないって言うから。
―――願いが通じたんでしょうね(笑)。
さやママ わぁー凄い、と思って。鍋のフタを極力開けないように。湯気が顔にかからないように頑張ってましたね。
―――ママ特製の「匂わないカレー」、味の方はどうでした?
さやママ 普通ですよね。さすがに焦がしたりはしてないのでまずくはないはず。でも、お客さんは気を使って「おいしい」って言ってくれるんですよ。例えば、彼氏とかに作っても、絶対、気を使って「おいしい」って言ってくれてるわと思ってしまうので。
―――気を使われるのが嫌なんですね。
さやママ 私が傷付くじゃないですか(笑)。ちょっと自分本位ですけど…。なので、カレーの日に関してはフェードアウトさせていただきました。
―――今後、ママの手作りつまみはないんですね。
さやママ スナック菓子でお願いしたいです (笑)。
―――お客さんを好きになってしまうことってありますか?
さやママ いい人だなと思うことはありますけどね。でも、好きになって付き合ってもあんまりいいことはないですよ。今の店ではないですけど、水商売は色恋で持っているところもありますからね。そうでもなくても「めっちゃ好き」とか言ったり。ちょっとウソを付いてるんですよ。自分の過去、いろんなことを辻褄合わせるためにウソを付いたりね。そうすると、男性側もウソを付くんですね。でも、付き合ったからって、それを今さらオープンにすることもないので、どこまでが本当でどこまでがウソかわからなくなってしまう。
―――疑心暗鬼になってしまう。
さやママ でも、恋愛をしないでおこう、とは思ってないですけどね。
―――お客さんに言われてうれしかった言葉は?
さやママ 「こんないいママがいるんだからもっと友達を連れてくるよ」となんて言われるとうれしいですね。とにかく褒めちぎられたい(笑)。調子に乗りますけど。
―――素朴な疑問として、みんななぜスナック飲みに来ると思いますか?
さやママ 私自身、お客としてあまりスナックに行った経験はあまりなかったんですけど、それこそ(新宿)2丁目とか、めちゃくちゃ好きで。みんなで飲んでワイワイしてるのが。やっぱり、ストレス発散ですか?でも、私、ストレスないんですよ。全然。だから、テーマパークみたいな感じですよね。私、ディズニーランドが好きで浦安に住んでたんですけど、2丁目に初めて行ったとき、「めちゃくちゃ楽しいディズニー超えてるかも」と思いましたね。浦安に住んでたのにディズニーよりも2丁目に行ってました。だから、スナックもテーマパークと思ってもらえれば。
―――どんなスナックでも、名物ママに、味のある常連さんだとかキャラクター揃ってますからね。
さやママ 飲み屋さんのいいところは、店の人、常連さん、そこにいる人たちと仲良くなれること。店内だけじゃなくて、店の外でも遊んだりするようになったり。人生の一部になったなと思います。