2018.11.27井戸ママ会議⑤
紀代子ママ あたしの誕生日はね、20年以上前から来ている人たちと、10年前からの常連の二つのグループがあるの。10年前の常連は日本丸の子会社の社長とかそういう船の関係の人たち。6時から9時まで会費を取って、9時過ぎからくる人は別会計。20年前以上前から来てるグループの中に、車関係の会社をやってる社長がいて、その社長、ウチの女の子が誕生日だと聞くと、美味しいところに連れて行ったり、私も六本木の美味しい店に連れて行ってくれたり。凄いのよ。その社長、まだ若い時にまがい物のバッグを持ってたの。「そんなもの持つんじゃない。持てる時が来たら持てばいいんだから」と言って怒ったんだけど、いま凄いバッグ持ってるのよ(笑)。
玉袋 客として、そんな客になりたいよね。
紀代子ママ 「あの時はママに怒られたな」って人ばっかりよ、みんな偉くなっちゃって。
玉袋 紀代子ママの人脈、俺たちも学ばなきゃいけないよね。ママは増やそうと思ったんじゃない。向こうから寄ってきたんだよな。 Le・cLubのイベントは?
れい子ママ 月に3回か4回はお客様の誕生日があるんで、4段ぐらいのシャンパンタワーはサービスします。
玉袋 かわいいシャンパンタワーだね。それでいいんだよ。ずーと日常よりも、お客さんに喜んでいただけることがね。ささやかでも真心を込めてやるってことだよな。お店やってよかったことは、一年前まで知らないお客さんと同士が、一年後その知らない同士がウチの常連さんとして集まって、店を通じてみんな友達になった。それはうれしかったね。この商売の一番の喜びだよ。
奈美子ママ 私もやっぱり、それが一番かな。
玉袋 Roseもそんな広い店じゃないからね。お客さん同士の距離という点では。 いろんなお客さんの筋がいてね。音楽好きなお客さんがいたり。
奈美子ママ ウチは20人も入れば満席ですからね。終わった後、他の業種の店で「こういうものです」と名刺渡して飲み歩いてると、後日、そこのお店の人がね、「スナックと言えばRoseさんがあったわ」なんて、他のお客さんに紹介してくれたりすると、それはやっぱりうれしいですよね。安心な店として薦められてるわけだから。
玉袋 そうだよな。金儲けも大事なのかもしれないけど、やっぱりそれだけじゃないからね。れい子ママはどうですか?
れい子ママ ウチのお客さんで、「カネはない。とにかく今苦しい。タダで飲ませてくれ」って人がいたんですよ。仕方がないからタダで飲ませるんですよ。そういう人が1~2年すると、社長になってたり。
玉袋 えー。
れい子ママ 「あの時、ホントありがとう」って、デーンとボトル入れたり、いっぱい人連れてきて飲みに来てくれたりとか。いいお客さん紹介してくれたりとか。
玉袋 鶴の恩返しみたいなことがあるんだな。これはチェーン店ではありえない話だから。
紀代子ママ そうね。「お客がこういったらこう答える」とかさ、チェーン店のマニュアルみたいなの、そういうの一番嫌いなのよ。 私はいつもお風呂に入ってる時に「スナックやってよかった、こんなに幸せな人生なかった」と思うのよ。それは結婚して苦労が17年間あったから。あと、5~6年苦労したかな。小料理屋のママに氷ぶん投げられたりね(笑)。娘や息子たちは、私が飲んだくれても、この背中を見てくれて、子供たち、みんな一人一人お店を出すことができたし。
玉袋 俺もスナックやってよかったと思ってるよ。ホントに。18で芸人になったときに、オヤジとおふくろに「30になって売れなかったら辞めて堅気になれ」って言われてたんだよ。まあ、30までに少し売れたからタレントをやってるわけだけど、タレントさんの副業っていろいろあるけど、やっぱりスナックなんだよ。両親も俺を育てるためにスナックをやってくれたわけだから、これは運命だと思うね。全国のママやマスターも運命的なきっかけが必ずあったと思うんだよ。スナックって、いやいやする仕事じゃないからね。
紀代子ママ そうよ、スナックは人間ドラマよね。ドラマと言えば、「スナック玉ちゃん」の舞台をやったでしょ?あたし行けなかったのよ。
玉袋 その代わりRoseのママが出たから(笑)。
奈美子ママ 私出たわよ~。
紀代子ママ そういうイベントで繋がりが出来るわね。
玉袋 だから、これを読んだママたちがね、この座談会に出てくれれば、どんどん繋がっていくと思うんだよね。スナックママ同士の横の繋がりってのはなくて、自分だけでやってたらわからないじゃん。スナックで全国に約7万軒あって、コンビニより多いんだよ。コンビニってフランチャイズだから全部つながってるけど、スナックって独立でみんなやってるからさ。
紀代子ママ そうね。みなさん、よろしくお願いしますね。
玉袋 いろいろネットワークを広げていけば、もっともっとスナックの発展につながるんじゃないかなと思うんだよね。
紀代子ママ 会長さんが言えば、地方のママだって来るわよ。土日ここで3時間ぐらいいろいろ話してもらってね
玉袋 そうそう。3時間やったら、そのうち紀代子ママが2時間半喋ってると思うけど(笑)。
一同 アハハハハハ。
玉袋 そういったところの情報網ね。こっちのお酒の方がいいとかさ。仕入れの最善策みたいなのを共有したり。だって、みんな最初は手探りだったでしょ?
紀代子ママ 今だってわかんないわよ。
一同 アハハハハハ。
玉袋 始めたときはおしぼり一本だってわかんなかったんだから。どうしたらいいだって?
紀代子ママ 「一杯いくら取ったらいいんですか?」って、怖い小料理屋のママに聞いたら「そんなもん自分で考えなさい!」って怒られたわよ(笑)。
一同 アハハハハハ。
玉袋 全国のスナックを回ってるけど、やっぱり最初は手探りのママさんが大多数でさ、誰かに経営のノウハウを教えてもらうってことはないんだよ。アルバイトで水商売の経験があったとしても、いざオーナーになったら全く別物だからね。それと、今までは客だったからさ、店側になって初めて気付くことだらけ。私生活で嫌なことがあっても、一度カウンター入ったら仏頂面なんかしてられないじゃない。ママたちは何があろうが笑顔で客を迎えてくれたわけじゃん。店側としたら、それを当たり前に、ずっ~とやってくれてたんだなと。ホント、一年半ではまだまだ青い。これはキャリア、どれだけ場数踏んでるか。対応のパターンが少なすぎるよね。それと、紀代子ママは講演会やるべき (笑)。
紀代子ママ でもね、くも膜下やったから、頭の回転と喋るスピードが…
玉袋 それは神様がね、「あれは煩すぎるからくも膜下ぐらい患わせておこう」と思ったんじゃないの(笑)。ママがこれだけ元気で若いのはお客さんから、カネと精分を吸い取ってきたわけだから(笑)。
一同 アハハハハハ。
玉袋 いや、ホントそうなんだよ。俺のおふくろも52で仕事を辞めちゃってさ、隠居生活入ったら、81で施設に入所してるわけだから。
紀代子ママ 52からだよ、スナックは。
玉袋 これからは後期高齢者の受皿にならなきゃいけないわけ。そういう時代になったときに、高齢者たちの行き場所、お客たちだって高齢者なんだから。どこに行ったらいいんだってこと。
紀代子ママ そうだよね。
玉袋 スタバで時間潰してスマホいじるなんて老後はつまんないよ。人との交流があるスナックだよ。スナックってのは離婚した人、薄給で働いてる人たちのセイフティーネットでもあるんだから。
紀代子ママ 玉ちゃん、あたし、そろそろ時間だから帰ります。
一同 アハハハハハハ。
紀代子ママ 喋りっぱなしでゴメンね。
玉袋 みなさん、ありがとうございました!!
構成 やまもと茂
しなの
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Rose
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TEL:03-3585-5553
Le・cLub
住所:東京都目黒区平町1丁目26−17ソシアル都立大学駅前B 05
TEL:03-3717-0570